新型コロナウィルス感染拡大予防対策の一つとして、急に身近なものになった感じのある「オンライン診療」。自宅にいながら診察を受けられるのは非常にありがたく便利ですよね!
でもいざオンライン診察を利用するとなると「どうやって診てもらうの?」「処方箋はどうもらうの?」「薬は?」「料金は?」など、まだまだ色々分からないことが多いのではないでしょうか。
今回はオンライン診療とは何か(どんなものか)、その利用方法や料金など具体的な部分がわかるようにまとめてみました!
目次(こんなことがわかります)
オンライン診療とは
オンライン診療というと、なんとなく「ネットで診察できる」という感じはしますが、具体的にはどういうことでしょうか?いつでもどこでもできるのか説明していきます!
オンライン診療でできることは?
実はオンライン診療自体は20年以上前から行われているんです!
では、オンライン診療とは何でしょうか?簡単に言うと、
スマートフォンなどの情報通信機器を使って、「病院の予約」から「支払い」までを行える診療方法
です。
ただ、原則「初診」の場合は対面診療を受けなければなりません。(コロナウイルス感染拡大措置として、時限的にですが一部初診でもOKとなっている点は後述します!)
ですので、
①原則はまず医師と相談し、
②オンライン診療が可能だと判断されれば、
二度目の受診以降からは、
・予約
・診察
・薬の処方
・決済
の全て
が、すべてスマホやタブレットなどの情報機器のみ(オンライン)で行えるという素晴らしいサービスです!
時限的に初診でも可能なオンライン診療
オンライン診療は、原則として「初診」での利用は認められていません。
ですが、今回のコロナウィルス感染防止策の一環として、初診のオンライン診療が「条件付き」「時限的」「特例的」で認められることになりました。
今回のコロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受け、「感染防止策の一環」として厚生労働省が「初診時も含めオンライン診療・電話診療を時限的に容認する」としたのです。
ただこれはあくまで「時限的」「特例的」ということなので、原則は初診はNGというのがオンライン診療です。
これによると、今回時限的に初診でもオンライン診療が可能になったのは、
①医師が「医学的に可能であると判断した範囲において」という条件で認めた場合。
②受診履歴のある患者さんが、別の病気や症状で初めて受診する場合。
となります。
また、時限的に「電話」でも受けられるようになり利用しやすくなりました。
ただ、新型コロナウィルス感染の疑いがある場合は、オンライン診療の対象にはなりませんのでご留意ください!
詳しくは以下、4月10日に発表された関係通知(事務連絡)に記載されています。
(「新型コロナウィルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療棟の時限的・特例的な取扱いについて」)
オンライン診療できる科目(保険適用)
次に、オンラインで受けられる科を確認しましょう!
「YaDoc」というサイトに「オンライン診療で保険が適用される疾患」としてまとめたものがあるので、引用でご紹介します。(2020年5月1日時点の情報です)
また、以下のほか、てんかん・難病外来・糖尿病透析予防・特定の小児疾患・特定の在宅医療なども、オンライン診療の保険適用対象になるそうです。
もともと持病をお持ちの方が、来院を避けることによって持病を悪化させないため、健康状態を維持するための代替手段として初診としても認められたようです。
[参考] 保険対象の疾患
オンライン診療での受診により、保険が適用される疾患は以下の通りです。
全診療科(病気・発現部位により診療科が変わります) 悪性新生物 内科 / 小児科 糖尿病 / スフィンゴリピド代謝障害及びその他の脂質蓄積障害 / リポ蛋白代謝障害及びその他の脂(質)血症 / リポジストロフィー / ムコ脂質症 / 思春期早発症 / 性染色体異常 / 甲状腺障害 / 処置後甲状腺機能低下症 呼吸器科 結核 / 単純性慢性気管支炎及び粘液膿性慢性気管支炎 / 詳細不明の慢性気管支炎/その他の慢性閉塞性肺疾患 / 肺気腫 / 喘息 / 喘息発作重積状態 / 気管支拡張症 形成外科 ローノア・ベンソード腺脂肪腫症 循環器科 高血圧性疾患 / 虚血性心疾患 / 不整脈 / 心不全 / 脳血管疾患 / 一過性脳虚血発作及び関連症候群 消化器内科 胃潰瘍 / 十二指腸潰瘍/胃炎及び十二指腸炎 / 肝疾患(経過が慢性なものに限る) / 慢性ウイルス肝炎 / アルコール性慢性膵炎 / その他の慢性膵炎 引用元:YaDoc
オンライン診察の特徴(メリットデメリット)
オンライン診療の特徴をメリットとデメリットに分けて見ていきましょう。
1)オンライン診療のメリット
オンライン診療のメリットは色々あります。
自宅や職場などで診察を受ける事ができるため、通院時間や、交通費が削減できます。
②院内感染や二次感染のリスクがない。
思わぬ病気をひろってくるという心配がなくなります。
疾患を持っていると、免疫力が衰えていることもあるので、重要なポイントです。
③受付や会計の待ち時間が短縮される。
オンラインで予約から支払いまで行うため、通常発生する待ち時間はほぼありません。
④薬が郵送で家に届く、または処方薬を自宅付近の薬局で受け取れる。
院内処方の場合は薬が直接届き、院外処方の場合は処方箋が送られてくるので、近くの薬局で薬を受け取ります。
⑤病気の悪化を予防できる。
忙しい時や、体調が悪い時もオンラインであれば受診しやすいですね。
継続して経過観察ができることで、結果的に病気の進行、悪化を防ぐことにつながります。
また実は医師側・病院側にも「院内感染が防げる」といったメリットがあると言えますね!
オンライン診療のデメリット
とても便利なオンライン診療ですが、実は「デメリット」もあります。デメリットやリスクをしっかり確認して適切に受けるようにしましょう!
診断に必要な血液検査やレントゲン撮影はできないので、できる治療が限られます。
②正確な診断、緊急性の判断がしにくい。
画面越しの診察は、触診ができなかったり、正しい顔色が分からなかったりします。より正確な診断や、緊急性が高い場合は対面診療が求められます。
③スマホやパソコン上の操作が必要である。
スマホやパソコンなどの情報通信機器に不慣れな年配の方などには、十分なサポートが必要になるでしょう。場合によっては、マイクなどの機器が新たに必要になることもあります。
やはり「オンラインでできることは限られる」ということですね。
医師の長年の経験に基づく所見や、患者のふとした言動による見立てあったりといった部分が、やはりオンラインでは難しくなる可能性が高いのがデメリットですね。
オンライン診療ができないケースは?
メリットの多いオンライン診療ですが、できないケースももちろんあります。
①初診(*1)
原則として初診は対面による診察を受ける必要があります。
②別の症状で受診したい場合(*2)
例えば、糖尿病でオンライン診療を継続している患者さんが花粉症の診察を受けた
い時、新たに対面による診察を受けなければなりません。
③医師が対面による診察が必要だと考えた場合
症状の悪化や急変時はもちろん、オンラインでは対応できませんね。
(*1,2は新型コロナウィルス感染拡大予防の時期、要件として外されています。)
オンラインで診療する方法(受診方法)
実際にオンライン診療を受けるにはどのようにするのでしょうか。
準備するもの
オンラインで診察を受けるには以下の準備が必要になります。
・オンライン診療用のアプリケーション
・スマートフォンやパソコン、タブレット等の情報通信機器
・インターネット環境
中でも大事になるのが「アプリ」となります。(一部電話診療もありますが、こちらではアプリを使った受診についてご説明します)
アプリを通じて診察等をするのですが、その際使用する「アプリケーション(アプリ)」は、医療機関によって異なります。
主に流通しているアプリには以下のようなものがあります。(2018-2020年のオンライン診療事業サービスの中でも主要と呼ばれています。)
・ポケットドクター
・CLINICS
・curon
・YaDoc
それぞれ特徴があり、医療機関によって採用しているものが違います。
ご自身が受診される医療機関にて事前にご確認くださいね!
オンライン診察の手順(予約から薬の受け取りまで)
オンライン診察にはアプリケーションが必要になりますが(電話診療を除く)、利用するアプリは医療機関によって異なります。
主な流れは似ていますが、今回は、「CLINICS」というアプリを例に紹介します。
こちらの動画で詳しく説明されています。
https://youtu.be/UdfpqVeStOs(iPhone)
https://youtu.be/bvQ7qcAKLkA(アンドロイド)
医療機関のQRコードを持っているかいないか、で多少の違いがありますが、情報登録などは同じ手順でできます。
流れは次のような感じです。
1 スマホやパソコンにアプリをインストールする。
2 アカウント登録で基本情報(名前・住所・電話番号など)を入力する。
3 SMSで届く認証コードにより確認。
4 診療メニューから「診療予約をする」を選び、予約したい日時を選択する。
5 問診票の入力をする。
6 クレジット情報の入力をする。
7 保険証画像を登録する。(その場で撮っても、ライブラリから選んでもOK)
8 基本情報、クレジットカード情報、保険証情報の登録を確認して予約完了。
【手順2:受診】
1 診察時間になったら、アプリを起動して医師からの呼び出しを待つ。
2 呼び出しが来たらビデオチャットにより診察を受ける。
【手順3:会計】
1 事前登録したクレジットカードで診察料、処方箋発行料が決済される。
2 請求書件領収書、診療明細書が自宅へ郵送される。
【手順4:処方箋、薬の受け取り】
1 院外処方の場合、処方箋が自宅へ送られてくるので近くの薬局で薬を出してもらう。
2 院内処方の場合、直接自宅に薬が送られてくる。
新型コロナウィルス感染症の拡大に際して
原則的には上記のようにオンライン診療を受けるのですが、2020年5月現在はコロナウィルス感染症の拡大予防に際しての「時限措置として」、次のことが可能になりました。
1 電話による診察
その場合、医療機関の指示で受け答えをすればよいので、特に難しい手順はありません。
本人確認については、テレビ電話を用いた場合は画面上で保険証を提示、電話では、保険者証をFAXかメールで医療機関に送付する形になります。
2 処方箋は院外処方の場合、保険薬局にFAXで送付することができます。
3 支払いは、クレジットカード決済、銀行振込、各種電子決済もできます。
オンライン診療の料金は?
次は気になる「オンライン診察」の料金について調べてみました!
オンライン診療には自由診療もありますが、主に保険診療について見ていきます。
オンライン診療は対面診療より安い
診療費そのものの保険点数はどうなっているのでしょう。実際に病院に行かないから安いのか、それともオンラインで診察をするにもコストがかかるから高くつくのか、謎ですよね。
ちょっと専門的な話になりますが、
日本医事新報社の記事によるとどうやら「再診の場合」は保険点数だけで見ると、対面での診察よりもオンラインでの診察のほうが安いことが分かります。
“オンライン診療に関する主な診療報酬は、「オンライン診療料」(71点)と「オンライン医学管理料」から移行した「特定疾患療養管理料(情報通信機器を用いた場合)」(100点)、「オンライン在宅管理料」「精神科オンライン在宅管理料」(各100点)の4つ(表B)。診療報酬の算定例は、外来が419点(再診料73点、明細書発行体制等加算1点、外来管理加算52点、特定疾患療養管理料225点、処方箋料68点)であるのに対し、オンライン診療の場合は239点(オンライン診療料71点、処方箋料68点、特定疾患療養管理料⦅情報通信機器を用いた場合⦆100点)と約4割低い。採算性が導入の進まない要因の1つとされているが、各点数は20年度改定でも据え置かれた。”
引用元:https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14365
自己負担額はというと、
『診療報酬点数×10×負担割合(10円未満は四捨五入)』で求められるので、
上記の記事の算定例に当てはめると、3割負担なら、
対面診察…419点×10×0.3≒1,260円
オンライン診察…239点×10×0.3≒720円
となります。
ちなみに、新型コロナウィルス感染症の拡大に際して認められたオンラインでの初診保険点数は214点、3割の自己負担は640円。
対面では288点で860円なので、オンラインのほうが約2割ほど安くなるようです。
情報通信費の負担
2018年3月に出された厚生労働省の文書によると、
“(12) 当該診察を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関 係ないサービス等の費用として別途徴収できる。”
引用元:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000196438.pdf
とあります。
つまり、保険診療による診療費とは別に「通信料として別途費用がかかることがある」のです。
しかも、「その費用は医療機関ごとに決められる」ので、実際にいくらかかるのかは、事前に確認しておいたほうがいいですね。
診察料だけであれば、オンライン診療が安いといえますが、これに情報通信費として上乗せがあると、負担額は逆に多くなりますね。
オンライン診療ができる病院はどこ?探し方も
さて、現時点では全ての医療機関がオンライン診察に対応しているわけではないので・・・
オンライン診療ができる病院が自宅の近くにあるのかも気になりますね!
オンライン診療に対応している医療機関を探したい場合、以下のサイトやアプリが役に立ちます。
①厚生労働省のHP
「新型コロナウィルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について」内
②一般社団法人日本医療ベンチャー協会より
「全国オンライン診療実施医療機関リスト」(閲覧のみです)
③ジャックジャパン株式会社の無償マップ
「全国オンライン診療・電話診療対応医療機関マップ」
これは、厚生労働省のリストをデータベース化して、GIS(地理情報システム)上に配信されたもので、誰でも無償で利用できます。
④アプリ「ロケスマ」のオンライン診療マップ(株式会社デジタルアドバンテージ)こちらも厚生労働省のリストをデータベース化したもののようです。
iPhone版はこちら
アンドロイド版はこちら
webブラウザ版:
マップは自宅付近の病院を探したいときにとても便利なので活用したいですね!
オンライン診療とは?利用方法や料金についてのまとめ&おさらい
最後にオンライン診療についてのまとめです!
■オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンを使用して予約から支払いまで行える診療方法です。
■保険で利用できる診療科は限られています。
■患者側、医師側ともに診療に関わる時間が短縮されるなどのメリットがあります。
■対面でしか得られない情報やすぐに検査ができないため、確実な診断ができないなどのデメリットがあります。
■原則として初診は対面診察を受け、その後医師と相談の上オンライン診療に移行します。
■利用するには、専用のアプリが必要です。
■アプリに情報を登録するだけで、予約から処方箋や薬の受け取りまでが行えます。
■保険を使用した場合の診療費自己負担額は、対面での診療よりも安いけれど、情報通信費用などが追加されます。
■オンライン診療が受けられる医療機関は、厚生労働省のリストなどから検索できます。
■新型コロナウィルス感染拡大に際しての措置が取られている間は時限的な特定として、
・初診でもオンライン診療が可能
・電話によるオンライン診療が可能
オンライン診療は、医療機関側の負担も多くこれまであまり浸透してきませんでしたが、今、新型コロナウィルス感染拡大予防の一環として、にわかに注目を浴びています。
感染を広げないために次々導入されるオンライン配信授業のように、医療面でもオンライン化が進むといざという時にとても役立ちますね。
この機会に、私たちもオンライン診療について理解を深め、うまく利用できるようになると良いですね!
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